2018年夏アニメで気になる作品
メモのまとめ。順番は月曜夜から始まる曜日順です。
- オリジナルアニメ
①Phantom in the Twilight:シリーズ構成が丸戸、声優豪華、EDがMay'n、キャラデザが乙女
②Free!-Dive to the Future-:3期
③天狼 Sirius the Jaeger:PA制作、CANAAN・花咲くいろはの監督、OPが岸田教団&THE明星ロケッツ
④少女☆歌劇レヴュースタァライト:灼熱の卓球娘・メイドインアビスのキネマシトラス制作、メディアミックスで展開、監督の古川知宏さんについては
シリーズ構成・脚本の樋口達人さんについては
⑤音楽少女:OPが小倉唯、アイドル枠
⑥プラネット・ウィズ:J.C.STAFF制作、ロボット枠
- 原作あり
悪偶-天才人形-
ヤマノススメ サードシーズン:3期
BANANA FISH:ユーリ on ICEのMAPPA制作、監督はFree!の内海紘子さん(Free!を見たことないですが…)
七星のスバル
はるかなレシーブ:珍しくメインにロリが見当たらないきらら枠、スポ根
はたらく細胞:いぬぼく・ジョジョのdavid production制作、声優豪華、EDがClariS
ISLAND
はねバド!
バキ
- 分類外
Fate/EXTRA Last Encore イルステリアス天動説:7/29/19:00~21:00
- 印象
豊作!
あなたを通して見る太陽『宇宙よりも遠い場所』4話まで感想
長いトンネルの出口を探していた
微かな光の匂いがしてる方へ
エンディングテーマ『ここから、ここから』の冒頭部分です。
何かしたい、でもすることがない。自分探しの旅にでも出ようか、でも結局重い腰が上がらない。若かりし頃そうやって悩んでいた人は多いんじゃないかと思いますが、主人公の少女キマリも、そんな若い悩みを抱く高校生の一人です。彼女は当初、高校生の間に何かしたいのになかなか行動に移せない、たった一歩が踏み出せないことに悩んでいるように見えますが、彼女の事情はちょっと進行してメタ的になっていて、その悩みの本質はそんな自分で作った壁が見えてしまっている、むしろそっちの方になってたのかなと思います。ギリギリになるといつも一歩が踏み出せなくなっていたキマリ。何かをしようとはする、でも結局しない。それを繰り返している内に、だんだん一番の障害が自分の中にあることに気がついてくる。1話で印象的だったこのカットもそんな彼女の抱いていたもどかしさ、世界に対して感じていた窮屈さを表している彼女目線なのかなと思います。
それはもしかすると飄々とした親友のめぐみと自分を無意識に比較している面もあったのかもしれません。二人に特段の違いはない。あるのはただズル休みをしたことがあるかないかというだけ。しかし自分が動けば世界は変えられる、それを知らないという差は、狭い世界で生きる高校生にとってはあまりにも大きい。壊そうと思えば壊せる壁も、壊さないとだんだん本当に壊せないものになっていく。自覚的になるということはそういうことで、だから日々に焦りのようなものすら感じて「私は嫌い…私のそういうところ、大ッキライ」と言う。
そんな彼女は南極を目指す少女報瀬に光を見て、ついに一歩を踏み出します。1話後半のこのシーン、4話とは対照的に太陽は小屋に隠れて映らない。二人は太陽を直接見ていない。それでも、報瀬が見ていた「トンネルの出口から射す光」、それに照らされた報瀬を通して、キマリは微かな、しかし確かな光を見つける。トンネルの中で彷徨っていた二人の少女は出会い、同じ微かな光の方へ歩き始める、そんなシーンなのかなと思います。
ここで報瀬が太陽を背にして映るのではなく、あくまで照らされる側の存在であることは重要なのでしょう。「友達も作らず、放課後ずっとバイトしてお金ためて」1年間を過ごしていた彼女は彼女自身輝く存在というよりは、やはり光の方に向かう者というのがしっくり来ます。そんな彼女だからこそ、太陽と逆の空を見ながら「言いたい人には言わせて置けば良い。今に見てろって熱くなれるから。そっちの方が、ずっと良い」と言う。そうやって影を見せる。
報瀬はひょっとすると微かな光の方へずっと「下を向いて」歩いていて、いつの間にか、その初めに描いた輝きを忘れていたのかもしれません。4話で朝日を見た彼女の表情は、そんな彼女の母親を亡くしてからの人生と物語を想起させます。
しかし今の彼女にはキマリや、2人の友達・仲間がいる。1話でキマリが報瀬を通して光を見つけたように、報瀬もキマリを通して光を見る。「どこかじゃない、南極だ。って」いつの間にかそんなことを言うようになったキマリに手を引かれて、今、彼女は長いトンネルの出口を出ようとしているのかもしれません。
そして蛇足かもしれませんが、1話のシーンでキマリの背後から光が射していたのは、今となっては4話に繋がる伏線であるようにも思えます。
1話の完成度の高さに衝撃を受けてから既に自分の中ではこういう作品があるからアニメを見るのはやめられないという存在になりつつありますが、5話以降の展開がどうなるか、とても待ち遠しいです。
きちんと作る、は手段に過ぎない。楽しませるとは何か。ダイナミックコードについて
2017年秋アニメにダイナミックコード(DYNAMIC CHORD)という作品がありました。"クソアニメ"という言葉には最近批判的な風潮を感じますが、まあ便利なのでこの言葉を使うと、この手のクソアニメは大体見る方ですが、この作品については知り合いがハマっていたこともあり、特に毎週リアタイで見るのが習慣になってました。リアタイでアニメを見ると、こう何か変な脳内物質が出てるのかわかりませんが、随分と楽しめ、また思い入れが湧くものです。
展開の自然さ、とはともすると作り手の余計なこだわりになり得るのではないか。このアニメを見て、そんなことを思いました。会話してたら突然シャッター音がエコーして場面切り換え。会話のキャッチボールでボールを受け取って突然フリーズしたり、突然場外に放り投げたり、シュールな会話はとても目につきます。作品で一番やりたいシーンに向けて緩急つけるのが普通であって、それがボケるような演出は普通やりたくない、どんなオチでも23分経ったらBGMで強制的に引きを作るなんて手抜きに見える訳です。普通に考えたら、普段からリアルさを担保しておいて、見せたいシーンで視聴者にちゃんと感激して欲しい訳です。でもこれらにおける正解って、本当に"ユーザーフレンドリー"なのかなと。
この作品について特に多く見たコメントとして「自然な流れ」というのがありました。「自然な流れ」というのはもちろん、ほとんど任意のタイミングで挟まれてくるライブシーンを「自然だ…」と言って笑うコメントですが、4組計16名ものバンドメンバー、カメラマンの道明寺(主人公!)にマネージャー2人、そして社長と登場人物が非常に多いこのアニメで、この演出は実は盛り上げつつ場面を切り替える非凡な方法だったようにも思います。実際、キャラクターの関係は非常に整理されて提示され、こんな人数話が頭に入るか!と思っていた当初が嘘のように段々とキャラの特徴が掴めてくる感覚がありました。このごった煮の鍋のような中でストーリーを作り出すのは恐らく簡単ではないでしょう。真面目に会話してたら、ストーリー上自然な盛り上がりだけを求めていたら、恐らく1クールのアニメとして盛り上がる場面は相当限られてしまうはずです。もちろん、この手のアイドルアニメには名作がたくさんありますから、資金とリソース、スタッフを集めることができれば、"きちんと作る"こともできるのでしょうが、アニメを作るという場面においてそういう状況があまり揃わないことは想像できます。実際アニメの制作の何を知ってる訳でもないのでこれは完全に妄想ですが、こうした状況になったとき潔く"こだわり"を捨て、視聴者を楽しませるという"こだわり"で動くのはある意味これもまたプロの仕事と言えるのではないか、魅力的な"クソアニメ"にはそういう筋が通っているのではないか、そんなことを感じました。
様式美を作って視聴者を楽しませる。リソースが厳しいのに、「追いかける」という定番ながら盛り上がる展開をたくさん書く。意味不明な流れでも構わないからとにかく毎回オチを作る。これって作り手としてどうしても持ってしまうプライドとよほど向き合い切っていないとできない気がします。アニメというのは表現の幅が広すぎて、"自然さ"すら手段の一つになのかもしれません。
2017年アニメ好きだったED5選
今年もアニメ豊作でしたね。個人的には豊作だったという以上にアニメを楽しく見れた一年だったので、幸せでした。
さて、2017年冬〜秋のアニメで好きだったEDですが、今回は自己紹介も兼ねてというか、短めに5選でいきます。順番は放送時期が早い順に並べて、良いところというか適当に思い出とかも混ざって書きます。5つだけなのでメジャー過ぎるものよりは…という意図は若干入ってます。
- 亜人ちゃんは語りたい(冬)
一貫して曲も画面も演出も、物凄く素朴なEDなのですが、音・色・動きの流れを一気に束ねて入るサビはこんなにも高揚するのかと聞く度に感激します。前半は、画用紙に描かれた線画に音に合わせて色を乗せていくという演出で、この画用紙というのがこの曲を引き立てすぎている。その画用紙の上の、色鉛筆で描いたような優しい色も曲調と合っていて大好きです。この白黒からカラフルへのサイクルが繰り返されることで、"色"というものは凄く鮮やかなんだ、ということを思い出させてくれます。「空ってこんなに青かったんだな…」というやつです。サビへの入りは言わばこのサイクルを利用しての不意打ちで、曲に合わせて画面を切り替えるという素朴な演出だからこそ、音を余すところなく使えているという好例でしょう。見終わった後に自分の「かけがいのないもの」がうっすらと見えてくるような、そんな気持ちになる素晴らしいEDです。個人的に2017年ナンバー1。このEDの構成考えた人は間違いなく天才。
- エロマンガ先生(春)
最近のラノベアニメっぽい着色に、画面に大きな動きはなく、ほぼ洗濯機と紗霧だけが動くという抑えめなED。画面の中での紗霧の背の高さと小物の配置が絶妙で、退屈そうな表情からちょっとずつノッていくのがかわいいです。作中紗霧が家で留守番するシーンなどありますが、兄のことを考えてる訳でも配信してる訳でもない、紛れもない"紗霧の日常"はここに描かれている、という感じがして結構好きな映像です。歌詞がかなり好きなEDで、「何度も越えて行けるから境界線」というのはこの時期の僕の座右の銘となっていました。
あとここに書くのはちょっと反則かもしれませんが、1話で「ヒトリゴト」に乗せて使われたED映像も結構好きで、もう一度流れないかなとずっと思ってましたが、残念…という感じでした。
EDとは全然関係ないですが、「ゲーマーズ」「妹さえいればいい」と合わせて一時代を築いた作家が帰ってくる作品が続いた2017年で、どれもいい出来で幸せでした。
- ID-0(春)
個人的にはけものフレンズ、宝石の国と並んで2017年をCGアニメの年と言わしめるにふさわしい作品だと思うのですが、自分の周りでは誰一人見ていなくて全く話ができなかったというちょっぴり悲しい記憶のある作品です。いかにも「ギアス」を踏襲した、イラストを順に表示していくだけ、という逆に思い切ったEDですが、ストーリーの吸引力と引きが極めて強い本作では、むしろこの素朴なEDは余韻を味わうのに合っているのかなとも思います。自分は「ギアス」という作品への思い入れが強すぎるのであまりフェアに見れてる自信はないのですが、過去だったり現在だったり未来だったり、こういうちょっとの補完が与える奥行きというのは、特に1クールの作品ですから意外と大きいのかなと思います。EDのイラストの中では中尉殿が一番好き。
- アニメガタリズ(秋)
とにかくアニメが好き!!!という熱量に溢れた今作ですが、EDも勢いとパワーに溢れています。1話の未乃愛のコロコロと変わる表情にノックアウトされて以来、ズブズブとこの作品にハマっていきましたが、EDでも表情と仕草がいい塩梅で、なんというか動かされているという感じが全然なくて、まさに踊っている彼女たちを見ている、そんな熱があります。しかしこの「魂実装済み」とタグ付けしたくなるようなダンスモーションの完成度は一体。あと、このEDも歌詞がかなり好きで、「誰に似てなくても構わない」というのは胸に刻みつけています(はい)
- ネト充のススメ(秋)
これも引き性能がかなり強いEDで、盛り上がりましたね。解釈は色々あるかと思いますが、自分は漠然と、ネット、というか彼女の相棒であるパソコン視点で、リアルがどうあろうとネットはそこにあり続けるよ、そういうイメージなのかなあと思って見てました。もりもりちゃんのパートの話ですね。良いですよね〜、こういうの好きです。桜井ともりもりちゃんがクロスオーバーするシーンを除いて各キャラクターは一人ずつ出てきてるところなんかも、リアルとネットというのがテーマのこの作品によく合っていて、ずっと見ていたいなと思えるEDです。姿勢とか写すカメラの高さや角度でキャラクター性がパッと伝わってくるようになっているのが凄いなと思います。
ちなみに楽しみすぎてまだ最終話が見れていないです。年が明ける前には見たいね…。
来年もアニメが豊作だと良いですね。それではこの辺で。